ベンダー交渉

ベンダーとの交渉③ 【 業務概要・業務イベント・業務フローの作り方 】

パソコンの前に資料が並べられている様子

どうも、木谷です

自社システム導入ですと、RFPをベンダーに提出するときに、自社の業務概要を伝える場合がでてきます

そんなときに作るのが「業務概要・業務イベント・業務フロー」です

なぜ自社業務を伝える必要があるのか?

一見、業務はIT導入に関係ないように思えます

ただ実際ここを怠って、プロジェクトが失敗に傾く例があるのです

受入テストでうまくいかない例

あるプロジェクトは、ベンダーとの連携もうまく取れて受け入れテストまではスムーズに進んでいました

しかし、いざテストしてみると、不具合が多発し「業務の流れに沿ってない」「このパターンが操作できない」「想定していた動きと全然違う」という状況になります

プロジェクトオーナーとしては業務フローをぜんぜん理解していないと憤慨します

ベンダーの言い分としては、「この処理をする前にその操作をすることがあるんですか?」「そのような流れは想定にありませんでした」というものです

自社の責任を考える

システムを設計する上では設計書だけあれば作ることが出来ます

しかし、実際に業務のフローを理解しているかどうかでユーザーの受入テスト時に「考慮漏れ」として障害が発生します

各パーツがしっかりしていても、追加入力や例外操作などの業務上で発生するイレギュラーな状況には対応していなかったのです

これはベンダーの問題でしょうか?

一概にベンダーが悪いとは言い切れないのです

業務の流れはユーザー企業として伝えるべき必須の項目になります

ベンダーに手取り足取り情報を提示すべきというわけではなく、問題は必要な情報をベンダーに渡しているかということです

自社の業務を記載した資料といえば、パンフレット・運用マニュアル・現行の設計書などがありますが、一番業務を伝えやすいのが「業務フロー」なのです

その業務フローをRFP作成の時点からしっかりと添付しているかどうかでシステムの完成度がまったく変わってきます

業務概要・業務イベント・業務フローの作り方

3つの違いは何でしょうか?

それぞれ見ていきましょう

全体の作り方の流れ

まず、粒の細かさは以下の順番です

  1. 業務フロー
  2. 業務イベント図
  3. 業務概要

業務概要は、ページ一枚におさまるくらいの簡単な業務の要約になります

業務イベント図は業務カレンダーに近いもので横軸に時間の流れを表し、縦軸に業務の種類や部門を表しています

業務フローは入り口からシステムの中を通って出口にいくまでの流れを図で表します

業務フローの作り方

では、一番詳細な業務フローから見ていきましょう

業務フローとは?

実際のサンプルはこちらです

業務フローのサンプル

出典 : inforce

業務フロー作成ツールとしておすすめしたいのが、「draw.io」です

無料でいろんな機能が使えます

業務フロー作成程度なら無料ツールで作ってしまっても問題はありません

ちなみにですが、業務フローはベンダーが作ってくれると思いがちですが、やはり自社で作るべき資料です

なんだかんだ業務を感覚的にやっているところが多く、自社でも図に起こそうとすると難しかったりします

業務フローを元に、要件定義や設計をしていくので、基盤となる自社業務が明確になっていなければその後のプロジェクトにも支障をきたします

メンバー全体にもうまく伝えやすいのはやはり自社で作成した業務フローであることは間違いないので、ぜひ自社作成をしましょう

どこまで詳細に仕上げるか

ただ、実際に書き始めるとどこまで細かくかけばいいのかが分からなくなります

細かく書きすぎるとわかりづらく、かといってどこで折り合いをつけたらいいのか? となってしまうのです

そこでおすすめしたいのが、「全体フロー」と「個別フロー」の複数をつくることです(大きなシステムになると、さらに「個別詳細フロー」をつくることもあります)

全体フローでは先程のサンプル写真のようなものをつくります

業務フローのサンプル

次に、段階ごとにわけて個別フローをつくります(この例だと客先、営業、DB、工場)

こうすることで、より伝わりやすい業務フローができあがります

業務イベント図の作り方

業務イベント図は、業務フローの前段階となります

いきなり業務フローをベンダーに見しても理解が追いつかないことが多く、そのときに業務をより簡略化した「業務イベント図」を作成すると良いでしょう

業務イベント図は時間に特化した図です

業務マニュアルや運用マニュアルにスケジュールが記載されていればそのまま流用可能です

新規に作る場合でも業務の予定を配置していくだけなのですぐに作ることができます

記載ポイントとして、イベントは導入するシステムに関わる業務だけにとどめています

あまりシステムと関係ないイベントを盛り込み過ぎると逆にベンダーが混乱するためです

業務イベント図は年次と月次に分かれて書くことをおすすめします(月次が年次と被る場合は省略可能です)

ツールとしては、「Brario」がよいでしょう(エクセルよりもスケジュール作成に特化していて、エクセルファイルとして出力可能です)

フリープランで十分使えますのでぜひ作ってみてください!

まとめ

自社業務を伝えることはプロジェクト成功の鍵

業務概要で要約を、業務イベント図で年間の流れを、業務フローでシステムの流れを伝える